司法試験の合格率上昇と就職活動
司法試験の受験者減少、合格率上昇は、少なからず就職活動に影響を与えている気がします。
私の事務所には毎年のように修習生やエクスターン生が来られていて、話を聞いていたり、接していますと、もちろん個人差が非常に大きいという前提ですが、手ごたえといいますか、法律論の基礎的な能力についてばらつきが年々大きくなっているような気がします。
もちろん、トップレベルの方は毎年変わりない一方、理屈上は、おそらく試験の合格率が上昇し最低ラインが少しずつ下がっていることで、合格者の中に「もう少し勉強してからでないと実務はちょっと。。」という方が増えてくるということになるかなと思うのですが、確かに実感としても、たとえば10年前と今を比べると少し違いを感じますし、20年前、30年前と今を比べればもっと違いがあるのかもしれません。
こうなってきますと、企業法務系事務所の採用側としては、合格者の法律の基礎的な能力のばらつきが大きくなってきているので、できるだけ上澄みを取りたいという意識が働きます。そうすると、学歴や成績、予備試験合格の有無でその担保を求めるということになります。それが今の就職傾向に表れている気がします。
以上のような側面がある一方、合格者が1500人ほどとここ10年ほどで徐々に減ってきまして、他方で弁護士の業務領域は徐々に広がっていて弁護士の需要は増えているので、業界としては良い人材がなかなか取れないという状況、つまり売り手市場になりつつある気がします。
売り手市場になれば希望の事務所に入りやすく、また条件も良くなりますし、合格率も高くなってきている現在、法曹は以前に比べより良い選択肢になってきているのではないか、という気がします。