弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

法科大学院と予備試験

就職活動の際に、予備試験に合格している方が有利な材料になることが多いことは前の記事でご紹介しましたが、少なくとも現在の傾向では、たとえば大手事務所に入るためには予備試験に合格していなければいけない(必須条件になる)かというと、そうではありません。

 

各事務所の弁護士紹介ページの最近入所された先生(73期や72期)のプロフィールを見る限り、企業法務系事務所の就職活動では、年齢に一定の制限が課されたうえで、一番に重視されるのは学歴(とその成績)です。

予備試験合格は、している方がもちろん良いし、学歴が東大・東大というわけではない場合に予備試験に合格していればプラス要素として評価され、入所に至るケースも大いにあると思いますが、予備試験に合格さえしていれば学歴がどうであれ入所できるというわけではない事務所が多いです。

したがって、企業法務系事務所への就職を考えた時に、予備試験に合格できればそれが望ましいことに間違いはないけれども、仮に予備試験に合格に至らず法科大学院に入所することになったとしても、ターゲットの事務所に入所実績があるロースクールに進学すれば、企業法務系事務所への就職を諦める必要はないと思います。

 

司法試験合格、就職活動時の年齢は審査対象になり、大手事務所の採用傾向としてはロースクールに進学した場合のいわゆるストレート(ロースクール既習入学、1回合格、浪人なし)に+1、+2くらいまでは問題なく審査対象になっている印象です(会計士資格や特殊な経歴などがあれば年齢はさらに緩和されるケースもあります)。

ただ、これから予備試験合格者がさらに重視されてきて、年齢も厳しくみられるようになってくる可能性もあるので、就職時期が近づいてきましたら、目標とする事務所の新人弁護士の経歴を統計的に分析されるとよいと思います。

 

なお、実務に出てみますと、2,3年早く登録したからといってだから仕事ができるわけでもなく、パートナーの昇進競争で有利というわけでもありません。

法律を解釈適用し案件をこなす能力はもちろん重要ですが、弁護士生活の大半を占めるであろうパートナー(や独立)になった後には、クライアントを獲得し売り上げる能力の方が重要になってきます。大手事務所や外資、ブティック事務所のパートナー審査でも、両能力がバランスよく高いかどうかが主な審査対象になります(大手事務所等で、案件をこなす能力は高いが売り上げる能力が基準に届いていない場合、一時的に、「カウンセル」などというパートナーとアソシエイトの中間のような肩書で在籍する場合があります。)。

生涯年収などを考えると若いうちに働き始めるのがよいということになるのかもしれませんが、企業法務系弁護士になれば、生活に困るようなことには通常はならないはずですし(純粋に年収を求めるなら、弁護士になるのではなく投資銀行外資証券、戦略コンサル等に行く方が効率がいいと思います)、そこまで急ぐ意味はないといえばありません。合格までロースクール判例原文や文献調査の手法を身に着けてみっちり勉強されたならばそれが生きる場面も大いに出てくるでしょうし、合格までの道はひとそれぞれ、という気がします。