弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

(余談)司法試験の勉強について

大学生の方もこのブログをご覧頂いているようです。

かなり前の情報になってしまうのですが、司法試験(や予備試験)の勉強法とでもいうべきものを書いてみます。一個人の感想に過ぎませんが、私自身多数の先輩合格者の話を聞いて勉強法を模索していましたので、何か一つでも参考して頂けたら幸いです。

なお、私は新司法試験合格組で、ロースクールを卒業していますが、大学は他学部で、いわゆる純粋未修者として入学して勉強を始め、何とか1回で合格しました(順位も、一応就職に差し支えることはないだろう範囲でした)。

 

司法試験合格に向けての勉強は、山登りに似ている気がします。

たとえば、司法試験の合格が富士山であれば、頂上がある3776メートル地点に到達するためには、当然、かなりの距離を歩かなければなりません(かなりの勉強量は確保しなければなりません。)。また、歩きながら方向を間違えたり、上ることができない崖にぶつかったり、中腹付近をぐるぐる回ってしまうと、永遠に頂上にたどり着けないかもしれません(勉強の方向性を間違ってはいけません。)。頂上にたどり着かなければならない日が決まっていますから(試験日は決まっていますから)、のんびり歩いているとたどり着けず、それなりのスピードは必要です(試験日に合格できる水準の力をつけている必要があり、そのためにそれなりの密度の勉強が必要です。)。

 

1.当然、勉強量はかなり必要

  2年から3年くらいは勉強中心の生活をするくらいの量は必要と思います。各科目ごとに、条文や制度の趣旨、文言、論点、判例などを理解した上で暗記し、最終的には答案に書く際の各文言(論証)もある程度暗記することが必要なので、どんな天才であろうと、凡人であろうと、必ず合格できる水準に達するためには、2年程度は勉強に集中する期間が必要だと思います(知らないことを編み出すことはできませんので。)。

2.質(勉強の方向性)も重要

  司法試験の特徴として、知識、条文の適用を応用する力が問われるので、ただ教わって暗記するだけではだめです。条文や制度の趣旨を理解し(最終的には暗記し)、使えるようにすることが必要なので、教わったことを理解して覚えるという作業を繰り返すことが必要です。

  この確認の機会として、いわゆるアウトプット(答練)が必要ということになります。

3.最終目標は、試験で点を取ること

  1.2をしかるべく準備できれば、法的能力は十分な水準に至るはずですが、それだけでは必ず合格できるとは限りません。司法試験には司法試験の、予備試験には予備試験の、それぞれの採点方法や問題の癖(出題傾向)がありますので、それに合わせて「試験本番で必要な点数を取る」勉強が必要です。ここを誤解すると、富士山の3000メートルまでは問題なくこれたけれども、その後頂上まで何年たってもたどり着けないということになってしまったりします。

  これはいわゆる過去問分析だとか上位合格答案の分析、時間内に答案に必要な事項を書き切る練習等です。どれだけ法的に正しいことを書いても、試験で点がつかないことを書いても意味がなく、試験時間を浪費するだけですので、1.2と3は別次元のこととしてとらえ、3のための準備も怠らず行う必要があります。

  少なくとも私の時代は、新司法試験の採点は加点方式でした。おそらく、想定された加点要素(記載すべき事項)ごとに点が割り振られていました。

  (元)試験委員の先生の授業のテストの採点方法なども参考になる場合があると思います。

4.偶然合格するのではなく、何度受けても必ず合格できる準備をする

  合格を目指すなら、何とか合格できる水準ではなく、何度受けても必ず合格できる準備(勉強)をすべきだと思っていました。

  そのためには、受験生であれば誰しも知っている知識はすべて理解し暗記していること、出題範囲はすべて抑えていること、などが必要です。

 

最後に、これから勉強を始めようと思っておられる方がすべきことは、最近の合格者できるだけ沢山の方から体験談を聞くことです。人によって勉強法や比重は違いますが、合格者であれば上記1から3(4をどこまで徹底するかは人によるかもしれません)を経ているはずで、共通点が見えてくると思います。この記事もその一つですし、昔ではmasoブロさんですとか、今はもっと勉強法を記した上位合格者の方のブログが残っていると思いますので、是非読み込んで、それを参考に勉強法を見定めてみて下さい。