弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

弁護士の就職⑪ ブティック系事務所に入るには

これまでの記事で私が知っていることは概ね書き終えてしまいましたが(お役に立っていなかったらすいません)、この記事では、ブティック系事務所に入るにはどうすべきかを書きたいと思います。

前の記事に書いた通り、ブティック系事務所とは、企業法務系事務所のうち特定分野に特化している事務所です。所属弁護士全員がその特定分野ばかり扱っているという特殊な事務所で、人数はそれほど多くないことが多く、数人から多くて20人ほどでしょうか。分野は、労働、倒産、知財ファイナンスなどで、独占禁止法会社法・訴訟に特化した事務所もあります。

ブティック系事務所といっても規模には多少の幅があり、毎年又はそれに近い頻度で新人を採用している事務所もあれば、新人を全く採用していない事務所もあります。そのため一概には言えませんが、新人を採用している事務所では、大手、中規模事務所とほぼ同様の採用基準を採用していることが多いと思います。そのため、大手、中規模事務所を目指す対策が、ブティック向けにも通用します。

ブティック系事務所だからといって、初めて社会人になる新人弁護士にその分野の専門知識を求めているということはまずありません(選択科目で勉強していれば、志望度のアピールにはなると思いますが、大きな選考基準にはならないことが多いと思います。選択科目で勉強していたからといって実務に通用するわけではなく、その意味では選択科目が何であっても大差はないので、労働の新人が知財ブティックに採用されるということも全然あると思います。)

他方、新人を全く採用していない事務所には、残念ながら事務所が新人を採用する気がなく、必要があればその分野の経験が豊富な弁護士を中途で採用するということでしょうから、新人では入れません(なお、それでも、ブティック系事務所は規模が小さいことが多いので、前例はあってないようなものと考えれば、ボスにアピールして前例のない採用にこぎつけるということはできるかもしれませんが)。大手や中規模事務所でその分野を経験してから入るという道がスタンダードということになります。

ただ、新人のうちから特定分野に決め打つというのは、やったことのないことを自分の仕事として決めてしまうことを意味し、私としてはお勧めしません。最初は、少なくとも複数分野を取り扱う事務所や、大手、中規模事務所に入り、様々な業務を経験して(経験する機会を得て)、そこであうと思う分野が見つかれば、ブティック系事務所に入るのもよいと思います。

最後に、イメージを持っていただきやすいように、各分野のブティック系事務所として著名な事務所をいくつかご紹介しておきたいと思います。各分野で専門的知見を有するほか、企業法務一般も取り扱い分野としていることもあります。なお、いずれも事務所も、業界の評判としてブティック系として認知されている(と私が認識している)ということで、実際の取り扱い業務はもっと広いかもしれず、以下の記載が不正確なこともあり得ますので、あくまでご参考としてご覧ください(敬称略)。

労働 第一芙蓉、石嵜・山中、安西など

倒産 LM、ひいらぎ、小林信明L.O(現在はNOT)、成和明哲(現在は分裂)など

知財 中村合同特許、阿部井窪片山(倒産でも著名)など

ファイナンス 片岡総合など

独禁法 日比谷総合など

会社法・訴訟 中村角田松本など

 

 今後は、新人弁護士の仕事の話に軸足を移して、時間の取れるときに記事を上げていきたいと思っています。

なお、就職活動について何かご質問などおありの方は、コメントを頂ければご回答させて頂くのでご遠慮なくお知らせください(更新頻度が低いので、お返しに時間はかかってしまうかもしれませんが)。