弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

案件分野が絞られていく過程

久しぶりの更新になってしまいました。

 

この間にも毎日のべ数十人の方がこのブログを見てくださっているようです。昔、私が先輩法曹のブログを読んで今があるように、少しでもお役に立つ記事があれば嬉しいです。

なお、もしご希望のテーマなどありましたら、コメントに書いて頂けましたら私が書けるテーマであれば記事を書かせて頂きますので、ご遠慮なくお寄せ下さい。個人的な進路で迷われていることなどでも歓迎です。

 

さて、今日は、個々の弁護士が扱う分野が自然と絞られていくというお話です。

大手、中堅、ブティックなどの企業法務系の事務所で仕事をしていくには、分野を絞っていくことになると思います。

クライアントが、数ある企業法務系の事務所と弁護士の中で、最も詳しいところに頼みたいと常に思っており、事務所、弁護士側としても特定分野の案件を経験することでその分野の経験が積み上がり、経験が新たな同分野の新規クライアントに繋がり、自然と差別化され分野が絞られていくからです。

 

特に大手やブティックは、ほぼ100%、各弁護士が特定分野に特化していきます。

逆に言えば特定分野、特定と言っても本当に一つである場合から2.3分野ということもありますが、それ以外の分野を扱うことはなくなっていきます。

 

これはメリットでもあり、幅広い分野に関わり続けたい場合にはデメリットでもあり、中堅事務所や小規模の幅広い案件を扱う事務所にも人気が集まる理由でもあります。

 

私の場合、事務所が小規模のいわゆるブティック系で、特定の二分野に案件がほぼ絞られていて、それ以外の分野は基本的に扱いません。

ただ、大手に比べれば大量のアソシエイトを抱えているわけではないため、個々の経費負担が大幅に少なく、パートナーの取扱分野に関する自由度の幅は広いので、趣味的に他分野を取り扱うということも問題なく可能です。私の場合、年に1.2件ですが、刑事事件を受ける機会があります。専門外ではあるのですが、以前、時間をかけて取り組んだ裁判員裁判で無罪判決を取得したこともあり、いつもの取扱分野とは違う醍醐味もあるなと思っています。

もちろん、専門外ですし、売上ということでも労力に比して身入りは少なく、その意味で趣味的と言わざるを得ないのですが(趣味で力を抜いているということではなく、事務所経営の観点からは非効率なので本来業務とは言えない、という意味です)、大手では高額な経費負担を上回る売り上げを上げるプレッシャーが強く、シニアパートナーになるまでは趣味的な分野に時間を使う余裕はないのが普通なので、この辺りは規模によって違いがでるかもしれず、中堅、小規模事務所の良いところといえるかもしれません。