弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

弁護士の就職14 企業内弁護士(インハウス)(1月16日加筆)

これまで企業法務系法律事務所への就職活動を中心に書いてきましたが、インハウスについても少し触れておきたいと思います。

 

インハウスへの就職は、法律事務所とは異なることが多いです。スケジュールとしては、東京なら、来年2月頃に修習生を対象として説明会が開催されますが、そこに多くの大手企業が出展して説明会を行い、その後選考が始まります。その他には、リクルートの一環としてロースクールごとに企業が出向いて説明会を行うこともあります。

後の採用は、一般の就職活動に近く、spi試験から始まるところもあります。面接は数回、担当者レベルから部門長、最後は役員クラスという段取りが多いようです。

インハウスの採用は、ここ10年くらいで一気に拡大してきた印象で、私も詳しく知らないのですが、法律事務所ほど希望者がいないため、選考基準は比較的緩やかなことが多いようです。私が最近聞いた話では、学歴が飛び抜けて良いというわけではない修習生が、誰もが知る大手企業に複数内定を貰っていました(人物は素晴らしかったようで、そこが評価されたのかもしれません)。学歴で一律にというより、人物などもみて総合的に判断というところが多そうです。

 

なお、インハウスで経験を積んだのち、企業法務系法律事務所への転職ができるかどうかという問題があります。少し前までは、インハウスは所詮企業内の弁護士で、最後は外部の弁護士に相談する立場におり、法律事務所では必ずしもウケが良くないなどと言われたりもしていましたが、最近は新卒で大手企業に入り、その後中規模以上の企業法務系事務所への転職に成功している例もよく見かけます。もちろん転職が叶うかどうかは個別具体的な事例によりますが、一般論としては、第二新卒での転職は十分可能と見るべきではないかと思いますので、それほどインハウスに入った場合のキャリアを悲観する必要はない気がします。

 

(以下1月16日加筆)

ただし、やはり個別案件を専門家として法的に徹底的に突き詰めるというプライベートプラクティスの経験は、法律事務所の方が一日の長があると思いますので、まずは弁護士になったら法律事務所にという従来の考え方も誤りということではないのかなと感じます。

 

ちなみに、法律事務所からインハウスへの転職は、一般には比較的容易といわれています。現にひまわり求人求職ナビを見ても、沢山の企業が日常的に募集しています。ただ、大手企業は新卒で採用して自前で育てるというスタイルを好むところもありますので、インハウスで生きていきたいという方は、初めからインハウスでの経験を積むのがよいかもしれません。インハウスからインハウスへの転職は、業務の親和性があり、採用側も安心できる材料になりますので、さらによく見かけるところです。

 

なお、インハウスは、傾向としては法律事務所より勤務時間が安定し短い傾向にあるようです。確かに、法律事務所では定時や時間外労働の概念はないところが多く、土日も仕事が終わっていなければ出勤しなければならないということも珍しくありませんので、その点は企業に雇用される一従業員となるインハウスとは異なるかもしれません。インハウスは男女比でいうと法律事務所より女性の比率が高いと思われますが、子育てや家庭と両立しながら安定した環境で働くという観点からは、インハウスの方が適していることが多いかもしれません。