弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

弁護士の就職⑤ 中規模事務所に入る方法

弁護士の所属人数が数十人程度の、いわゆる中規模事務所に入る方法(就職活動)について書いていきます。おそらくこのくくりに入ることで異論が少ないと思われるのは、東京でいえば、敬称略で、岩田合同、田辺総合、牛島総合、東京丸の内、桃尾・松尾・難波、阿部・井窪・片山、あさひなどかなと思います(他にも複数事務所が該当しえます。完全に主観で、ここに入る又は入らないことに特段意味付けはしておりませんので、一個人の雑感としてご参照ください)。

 

前提として、中規模事務所は、少なくともこれまでの傾向では、司法試験の合格発表があってから採用が本格化するところが多いです。大手、準大手は合格発表前に、大学院の成績に基づき(司法試験の成績は問わずに)採用を決めてしまうこととは対照的です(ただし、中規模事務所でも、サマクラ等の結果を下に発表前に採用を決めてしまうところもあり、事務所によります)。

 

なぜ発表後の採用となるかといいますと、中規模事務所でも、理屈上は発表前に採用を決めてしまうことも可能ではありますが、大手、準大手とは異なり年1人から数人採用するか否かであり、入ってもらった弁護士はできる限り全員がパートナーとなり長く務めてもらいたいという希望を持っている(そのようなキャリアプランが想定されている)ことが多いので、採用する弁護士の当たりはずれはできる限り少なくしたい、また不合格では困るから合格が確定してから採用したい、ということではないかと思います。

小規模事務所では数年に1人取るかどうかですから、この傾向はより顕著です(ただし、また別の記事にするかもしれませんが、小規模事務所では、ボス一頭体制で新人弁護士は数年ごとに使い捨てという事務所もそれなりにあります)。本番である司法試験の成績も踏まえて、綿密に面接を重ねて、採用するということです。

 

中規模の、特に著名な企業法務系事務所の選考基準の傾向は、次のとおりです。

・学歴

・成績(司法試験、大学院いずれも見るが、司法試験の比重が大きいことが多い)

・年齢

・予備試験合格か否か

・以上の客観的な数値等を前提として、志望度、事務所に合うかどうか

その他、職歴や外国語能力

 

学歴が重視されることは大手、準大手と同じです。大学院、大学いずれも見られます。大手、準大手にも共通しますが、東京の事務所であれば、国立であれば東大、京大、阪大、一橋が中心です。私立であれば、慶應と早稲田が中心、普通に選考基準に入ってくるのは中央まででしょうか。それ以外の大学でもダメということはもちろんないと思いますが、予備試験合格や、成績で飛びぬけていることが必要となってくるかもしれません(全然間違っているかもしれず、完全に私が受けている印象であって正しいとは限りませんのでご留意ください)。

 

成績は、司法試験の成績はそれなりのものが求められる傾向にあります。企業法務系で著名な事務所では、もちろん事務所により違いがあり得ますが、できれば100番以内、悪くても500番以内、最低でも上位50%以内に入っていないと、最終的な採用に至る例は少ないかもしれません。

なお、司法試験の成績は、若手の頃の事務所移籍の際にもかなり重視されるので、良いに越したことはないです。ちなみに、受験回数については、もちろん1回目合格がよく、2回目でもダメということはないことが多い一方、3回目以降の受験で合格した場合は厳しい見方をされることが多いかもしれません。個人的には、3回目の受験であろうと成績や経歴次第ではないかと思いますが、現に企業法務系事務所で3回目以降の入所者はほとんど見かけない気がします。

年齢は大手、準大手と同様、20代中盤までがほとんどでしょう。

予備試験合格者がかなり優遇されることも同様です。これからは、中規模事務所以上については、予備試験合格がスタンダードになってくる可能性もあると思います。予備試験合格は昨今かなり重視されており、学歴や大学院の成績が多少届かなくても、予備試験合格があれば逆転して採用に至る可能性は十分あります。

職歴や外国語能力は、補充的な要素にとどまることがほとんどと思います。職歴は、若さという点ではマイナスですから、むしろなくて若いうちに合格する方がよいかもしれません(公認会計士など難関他資格を持っておられる方は、多少年齢が上でも入所に至っている例もたまに見かけます。しかし、たまにです。)。渉外系であれば外国語能力が重視される可能性はありますが、名前が通った中規模事務所以上になると、学歴や成績が基準に届かないのに外国語能力だけで採用に至ることはまずないと思います。

 

採用は年1人からせいぜい数人で、特定の事務所に入ろうと思うと、大量に採用する大手、準大手より狭き門です。著名な事務所では、100人以上が応募し、採用は一人(倍率100倍以上)ということも珍しくありません。

面接を重ねて人柄が事務所に合うかどうか等も確認され、絞りに絞って最後の一人を決めるというイメージです(外資やブティック系も同様です)。

 

そのため、相性の問題もあり、学歴や成績がどれだけ良くても希望の事務所に入れるとは限りませんので、特定の事務所に絞りすぎず、似た規模の事務所をたくさん受ける中で相性が合うところが見つかればラッキー、というくらいの気持ちで行くとよいと思います。