弁護士の就職と若手弁護士の仕事 blog

弁護士の就職と、若手弁護士の仕事について、まもなく中堅に差し掛かりそうな弁護士が知っていることを記録するブログです。

弁護士の就職② 法律事務所の規模

弁護士の就職①に続き、企業法務事務所と一般民事事務所を詳しくご紹介する前に、就職活動の際にしばしば就職希望者が重視する「法律事務所の規模」について書いておきたいと思います。

 

ここ数年は、法律事務所を所属弁護士数の多い順にランキングしたデータが出ており(ジュリナビだった気がしますが、間違っていたらすいません。ウェブで検索するとすぐ見つかります。)、一般の就職と同様に考えると、規模が大きいところに入っておくのが無難で仕事もいろいろあるのではないか、と考えやすいところですが、必ずしもそうではありません。

大きい方が安定感があることは間違いなく、その点は規模が大きい事務所の長所として見過ごせない点ですが、法律事務所は、元々個別の自営業者である弁護士が集まってできているので、分裂合併はしょっちゅうあり(上記大手事務所から弁護士10名以上が一挙に分離独立するということも何度もありました。)、日本一の弁護士数を誇る西村あさひ法律事務所が合併してできたのも、2007年7月で、10年ちょっと前です。

 

そして、注意すべきなのは、規模が大きいからといってすべての業務を取り扱っているとは限らないことです。

大手の企業法務事務所では、一般民事案件の取り扱いはほとんどないところが多いといわれています。企業法務に特化、集中しているからです。一般民事事務所はその逆で、中小企業など多少の企業法務がある場合でも、上場企業など華々しい企業法務案件はほとんどないところが多いといわれています(持って回った言い方で申し訳ないのですが、書くことができることに限界があるので、趣旨お汲み取りの上御容赦ください。)。

 

大は小を兼ねるという言葉がありますが、もちろんそれなりに当たってはいるものの、弁護士業界では必ずしもそうではないと思います。

大規模事務所を志望される場合でも、主な取扱業務は確認されるとよいと思います。どの分野に何人弁護士が従事しているのかを聞いたり、その事務所の代表的な先生のお名前で裁判例を検索すればどのような案件を主に扱っている事務所なのかはわかると思います。事務所のHPは、大いに参考になり、まずはそれを見るべきですが、必ずしも取扱業務に応じて作成されているとは限らないので、注意が必要です(顧客へのアピールのために作成されるのが一般なので、今は取り扱っていないが今後増やしたい業務を目立たせて描いたりすることも稀ですがあります。)。

 

なお、20人から50人程度の人数の事務所は、中規模事務所と呼ばれることもあるのですが、中規模事務所でも、企業法務事務所と一般民事事務所に分かれることは同じです。20人程度でも、弁護団活動や弱者救済を積極的に行う先生方が集まって作られた事務所もあり、そのような事務所では企業法務は断ったり扱っていても少ない場合があるといわれています。数人の事務所でも同じで、数人でも高度な企業法務を扱っている事務所も東京ではたくさんありますし、いわゆるブティック系の事務所は数人から多くても十数人で専門的に特定分野の企業法務を取り扱っていることが多いです。日系の弁護士ランキングで企業法務部門一位を連続して取られた著名な先生も、大手事務所から独立された当初は数名で、その後も少数精鋭の事務所を維持されるなどしています。

 

今日は立ち上げ初日で複数記事を書きましたが、この辺で。。